開催レポート

  • Program1

    アニメ業界最前線 ―求められる人材像とは?―

    増田弘道 日本動画協会 人材育成ワーキング座長
    鈴木修一 株式会社ぴえろ 営業部 イベント担当
    神木優 東映アニメーション株式会社 テレビ企画部 プロデューサー
    立石夏子 東映アニメーション株式会社 総務部

     まず増田氏がアニメ業界の現況を紹介し、アニメ業界の最前線で働いている3人の志望理由や仕事を始めてからのアニメ業界の印象を尋ねた。
     アニメ商品発送のアルバイトから始め、イベントの人員整理などを経て業界入りしたという鈴木氏は「アニメ業界は職人気質の人が多い。そういう人が愛をもって妥協せずに仕事をしている」と業界入り後の印象を語った。神木氏は「子供や教育に興味があり、それにかかわる仕事ということで東映アニメーションを選んだ」というのが志望動機。「アニメは想像以上に多くの人が、それぞれの立場で携わっていることを実感した。プロデューサーとしてはそれを調整していくのが難しいところでもあり、楽しいところでもある」とやりがいを説明した。エンターテインメント業界志望で2年に1回ある総合職採用に応募したという立石氏は「入社前は会社案内以上の印象はなかったが、職人気質のスタッフと話をすると大きく刺激を受ける」と、アニメ業界で働く魅力を強調した。
     これからアニメ業界を志望する人へのアドバイスとしては「アルバイトでもなんでもいいので、その業界の仕事に飛び込み、その空気に触れてみてほしい」(鈴木氏)、「その作品がどんなコンセプトでできているのか映像作品を考察しながら見るのもいいと思う」(神木氏)、「いろんな知識や経験を蓄えて柔軟性を養ってほしい」(立石氏)という意見が出た。
     増田氏は最後に「アニメ業界に入る道というのは一つだけではない。また流通や宣伝など制作以外の仕事も多い。アニメ業界で何かをやりたいと思っている人であれば、入ってみてからやりたいことを見つけてもいい。やる気のある人大歓迎です。」とアニメ業界志望者へのエールでセミナーを締めくくった。

    原稿執筆:藤津 亮太

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  • Program2

    企業各社様へのAnime Festival Asiaのご説明と出展案内

    出演: SOZO PTE LTD Managing Director ショーン・チン
    SOZO PTE LTD Executive Producer 大林愛子
    J-LOP/ジャパン・コンテンツ海外展開事務局 事務局長 市井三衛

     前半は「Anime Festival Asia」(以下、AFA)を主催する会社のひとつであるSOZO社の大林氏とチン氏が概況説明を行い、出展を募った。 AFAは2008年にシンガポールでスタートした東南アジア最大の日本ポップカルチャーイベント。インドネシアやマレーシアなどでの開催を含め過去6年間で9回行われ合計で53.3万の動員を記録している。2013年にはマレーシアとシンガポールでそれぞれ3日ずつ開催され、合計で13.8万人が来場した。Facebookにおけるファンは約50万人で男女比は6:4で構成されている。AFA来場者のファン層について、「好きな作品」についてのアンケート結果が発表され、ほぼ日本のファン層と同じ作品が並んでいた。
     イベントのコンセプトは展示・ステージ(昼)・ライブコンサート(夜)の3つのパターンで構成される。前者は物販なども行なわれアプローチする人数が多く、後者にいくほど客単価が上昇する。出展の活用例としては「ブランド認知・関心創造」「東南アジアマーケットの消費者動向」「テストマーケティング」「新規コンテンツのプロモーション」の4つを挙げた。具体的な事例としてソニーの新型ビデオカメラやマイクロソフトのInternet Explorerのプロモーションなどが挙げられた。アニメタイトルでは『革命機ヴァルヴレイヴ』を事例に出し、展示や物販、声優イベントのほか東南アジア向け配信の発表などを行なったことを報告した。そして2014年の開催については、8月15~17日にジャカルタで、12月5~7日にシンガポールでそれぞれ行われることが発表された。
     後半はJ-LOP事務局の市井氏が説明を行った。J-LOPは日本のコンテンツのローカライズとプロモーションを支援する経産省と総務省による助成金で、総額155億円が用意されている。目的は海外における「日本ブームの創出」を行い、現地での関連産業の海外展開の拡大をし、さらに日本への観光の促進を行うことにある。助成対象は日本の法令に基づいて設立された法人と日本国民。内容はコンテンツやその契約のために必要な翻訳、連携要素を満たすプロモーションなどがあり、具体的な事例としてはAFAやJAPAN EXPOなどが挙げられた。最後に各書類と申し込みは公式サイト(http://j-lop.jp)を参照するよう述べた。

    原稿執筆:日詰 明嘉

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  • Program3

    『アニメ×異業種』の可能性~『機動戦士ガンダム』のコラボレーション事例~

    株式会社サンライズ 取締役 佐々木新
    株式会社サンライズ ハイエンドワークス事業部マネージャー 志田香織
    アニメ特撮研究家 氷川竜介

     大人気アニメ『機動戦士ガンダム』が「異業種」といかにコラボレーションを行ったかについて、制作会社サンライズが解説を行なった。 前半は2009年のガンダム30周年企画の一環として、東京お台場の潮風公園に建てられた実物大ガンダム立像における東京都との例が報告された。ここでは「GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト」と銘打たれ、緑の東京募金や「緑あふれる都市東京の再生」の広報などを行なった。苦労点としては、18mの巨大立像のため作業の安全面の確保や演出面において航空に関する法を順守するといった、アニメ制作会社の枠を超えた社会的な関わり方に直面したという。メリットとしては、公共の場所で長期間催しを行なうことでオフィシャル感のあるイベントが実行できたという実感や、普段アニメに接することの少ない幅広い年代の方々や海外の方に作品を訴求できたことを挙げた。この催しは52日間行なわれ当初の予定を大きく上回る415万人が来場した。
     後半は2012年から始まったトヨタの自動車・オーリスと、人気キャラクター・シャアのコラボ「シャア専用オーリス」の例が説明された。トヨタは若者の車離れを打開し、新たな市場の可能性を開拓するべくアニメに活路を見出したという。そこで表層的なキャラクタープリントではなく、ファンを納得させるためのバックストーリーを創造することにし、作品とリアル企業のトヨタをコラボさせた「ジオニックトヨタ」がこの車を作ったという設定を用意、ブランドロゴを作成し、「社員募集」も行なった。プロジェクトに共感するユーザーが応募した「社員」は東京と名古屋でオーリス広報チームやサンライズと意見交換を行い、それらを製品にフィードバックさせていった。また、シャアがオーリスに乗車し運転するスペシャルムービーをサンライズが制作し、大きな反響を得た。大企業とキャラクターのコラボレーションはブランドイメージの相乗効果が得られたほか、社会的なルールを守る企業とのものづくりは新しい経験になったという。
     最後に佐々木取締役は「コラボレーションはお金を稼ぐためなのか、イメージを向上させるためなのかのビジョンを最初から明確に持つべき」と話す。「作品ありきでやりたいことを相手にしっかりぶつけて、その上で社会のルールを守ることを一緒に考えていくことが大事」と考えを述べた。志田マネージャーは「どのガンダム作品でコラボしてどのファンに向けるのかをしっかり見極め、その上でファンを裏切らないようにしつつ、どこまで新しい風を入れるかを常に考えつつ実行するのが大事」と語った。

    原稿執筆:日詰 明嘉

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  • Program4

    『アニメ×地域』の最前線
    ~P.A.WORKS作品に見るアニメと「伝統文化」「地域」とのコラボレーション~

    北海道大学 観光学高等研究センター 教授 山村高淑
    株式会社ピーエーワークス 専務取締役 菊池宣広

     P.A.WORKSは富山県南砺市に拠点を構えるアニメ制作会社である。同社は地域の伝統や文化を作品に丁寧に活かし、関連イベントでは、伝統や文化をキーに地域とコラボレーションを行うなど、アニメコンテンツと伝統文化・地域とのコラボレーションの可能性を様々な形で示し続けている。
    山村教授は、アニメと地域とのタイアップの可能性は経済効果だけではないことを強調し、より本質的で重要なポイントとして以下の三点を示した。すなわち、「地域ブランディング」「コミュニケーション行為としてのツーリズムの促進」「伝統の再発見・創造」である。続いて菊池専務は、作品と伝統文化・地域とのコラボレーションの実例として、同社制作の5作品を取り上げ、「地域の伝統を作中に描く、伝統を創る」「文化財とのコラボレーション」「アニメ×地域の新たな試み・展開」という三つの視点から、それぞれ説明を行った。  まず、「地域の伝統を作中に描く」例としては、『true tears』を事例にあげた。作中では、城端地区に伝わる「むぎや祭」と「曳山祭」をモデルに、架空の冬の祭り「麦端祭り」が描かれている。作中の「麦端踊り」も伝統の「むぎや踊り」を元に創作されたものだ。また、『花咲くいろは』では、作中に架空の祭り「ぼんぼり祭り」が描かれたが、これがきっかけとなって、湯涌温泉観光協会では2011年10月より、毎年、実際の地域の祭りとして「ぼんぼり祭り」が開催されるようになった。菊池専務は、来客は初年が5000人で以後7000人、1万人と増加しつつあるが、人数の多寡ではなく継続性を重要視している点に触れ、「末永く楽しんでほしい」と語った。
     次に「文化財とのコラボ」事例では、『Another』を取り上げ、作中の中学校旧校舎のモデルとなった南砺市にある明治期の建築、福野高校巖浄閣を活用した「Another展」(2013年4月)を紹介。このイベントを機に初めて巖浄閣を訪れた同校OBもいたという。同社ではこうしたイベントを地元の方々へのウィンドウのひとつと位置づける。また京都が舞台の作品『有頂天家族』では、京都南座初のアニメ関連イベント(先行プレミア上映会)が行われている。南座支配人の話では「お客様が終演後にこれほど南座内部の写真を撮っていかれたのは見たことがない」ほどで、菊池専務は「新旧文化の双方に興味を持ち、理解していただくきっかけになれば」と話す。
     そして最後に「アニメ×地域の新たな試み・展開」事例として、『恋旅~True Tours Nanto~』を紹介。これはラブストーリー3話(それぞれ前・後編)を、GPSと連動したエリアワンセグ機能を用いて、南砺市限定で放送・配信するというものである(2014年3月22日から各前編は全国公開)。「これは観光地紹介アニメではない。あくまで物語の背景として南砺市が出てくるという位置づけであり、南砺市と物語の両方をその場で楽しめる作り方を心がけた」(菊池専務)という。
     総括として菊池専務は、「我々は作り手側の都合で作品の舞台を設定する。しかし、単にその地域の方々が作品に“乗っかる”だけでは、時間とともにファンの皆さんは離れていってしまう。地域の方にとっては、訪れた“作品のファン”が“地域のファン”になっていってほしいもの。この作り手側と地域側との温度差に配慮しながら、作り手として継続的に地域の活動にも協力しながら、双方にとって良い結果になるよう目指したい」と締めくくった。

    原稿執筆:日詰 明嘉

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  • Program5

    ヒットするキャラクター商品のつくり方・売り方

    一般社団法人キャラクターブランド・ライセンス協会 理事/事務局長
    株式会社キャラクター・データバンク 代表取締役社長
    陸川 和男
    株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツ
    コンテンツ事業本部 コンテンツマーケティング部 コンテンツディレクター
    西岡 敦史
    株式会社タカラトミー
    ビークル事業部 プラレールグループ グループリーダー
    東 宏幸

     人気キャラクター『きかんしゃトーマス』に登場した蒸気機関車ヒロを題材に、ライセンスビジネスの仕組みとその過程でどこに気が配られているかを関係者が語った。
     『きかんしゃトーマス』の日本におけるマーケティングプランを担う西岡氏は、まず『トーマス』のライセンスの説明から始めた。
     『トーマス』は映像を制作するヒット・エンターテインメントがすべての権利を持っている。西岡氏の属するソニー・クリエイティブプロダクツは、日本国内における権利を任されマスターライセンシーとして、日本の『トーマス』ビジネスの窓口となっている。そして権利の許諾を受けて『トーマス』のプラレールを展開するタカラトミーなどが、サブライセンシーとなる。『トーマス』のサブライセンシーは、国内に120社あるという。
     蒸気機関車ヒロは、英語圏以外のエリアの視聴者にアピールするため、日本の蒸気機関車をもとに企画されたキャラクター。ヒロが登場する映像が2009年9月に欧米でリリースされる情報を得たソニー・クリエイティブプロダクツは、タカラトミーにその旨を連絡した。2009年夏前から商品化などを進めつつ、2010年4月にヒロが登場する映像を映画『伝説の英雄』公開と同時に商品展開する計画を立てた。こうした過程において、ソニー・クリエイティブプロダクツとしては「日本市場での最適な戦略を実現するためのヒット・エンターテインメントとの緊密な情報交換」と「サブライセンシーに対する早めの情報提供」を心がけているという。
     東氏は西岡氏の説明を受け、タカラトミー・サイドにおけるヒロの商品化の流れを解説した。ソニー・クリエイティブプロダクツとのやり取りが一番多くなるのは、試作段階。コストやプラレールの規格という枠組みの中、劇中そのままの形で玩具にはできない。その中で、いかにヒロらしいデザインに落とし込むのか、検討を重ねるという。
     こうして2010年4月にリリースされたヒロの商品はヒット作となり、ヒロも人気キャラクターになったという。

    原稿執筆:藤津 亮太

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  • Program6

    DAISUKI.netビジネスセミナー

    DAISUKI株式会社 CEO 柴田邦彦

     DAISUKI.netは、海外でアニメ配信・ECを行うため、アニプレックス、サンライズ、東映アニメーション、トムス・エンタテインメント、日本アドシステムズなどが共同出資し設立した企業。2013年5月下旬よりサービスを開始した同社の狙いと現状を柴田氏が報告した。
     同社設立の背景には、ネットの普及などによる海賊版の急激な浸透があるという。同社の調査によると、違法配信サイトは世界に90サイト以上あり、あるアニメ1話ついて100万回超再生されているという。また違法配信サイトからそのアニメのキャラを使った海賊版ゲームへのリンクも貼られるなど、ファンが自分たちの楽しみにやっているという域をはるかに超えているのが現状という。
     そうした現状に対して同社は、制作会社の連携により海外向けの正規配信プラットフォームを構築し、厳しさを増す海外市場で新たな事業展開を行うことを目標としている。そしてその先に、これまでも単発のヒット作はあったが、そうした各作品のファンを「アニメファン」という形で束ねていくことを目標としている。
     現在の会員は130万人。初年度目標は100万人なので上々の滑り出しだという。DAISUKI.netでは、英語を含む5か国語の字幕が用意されており、ユーザーの内訳は北米45%、欧州25%、アジア15%、南米5%となっているという。サイトのECコーナーには日本のイベント限定グッズなどを置いて訴求を高めるほか、アニメエキスポなど海外のアニメ系イベントに出展して地元ファンへとその存在をアピールしているという。

    原稿執筆:藤津 亮太

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  • Program7

    AnimeJapan×JETRO 海外ビジネスセミナー
    アニメ海外マーケティング最前線~世界各地域におけるアニメビジネス最新情報~

    森 祐治(デジタルハリウッド大学大学院 専任教授/電通コンサルティング 取締役ディレクター)
    マーベル・アニメーション(米国):ケネス・T・イトウ(アニメーション・プロダクション ディレクター)
    カナル・オンセ(メキシコ国営放送):マリア・クラウディア・サントス・サンチェス(ヤング/ミュージック/コメディ開発チーフ)
    メルメディア(トルコのディストリビューター):エルダル・ギュヴェン(チェアマン)

     AnimeJapanを訪れた国も職種も異なる3人のバイヤーが、それぞれの立場から日本製アニメの普及と、日本製アニメへの期待を語った。
     マーベル・アニメーションのプロダクション ディレクターで『スパイダーマン』などを担当しているというイトウ氏は「マーベルとライセンス契約を結んでマッドハウスが制作している作品もある」と、日本のスタジオとの関係を説明し「アニメの市場はさらに広がっていくと思われるので、その枠組みの中で日本のアニメ制作会社と連携して制作をしていきたいと思う」と語った。
     サンチェス氏は、『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『マッハGOGOGO』などは1970年代からメキシコで放送されてきた、とメキシコがかなり昔から日本製アニメに親しんできたことを解説した。そして1997年からの数年は『聖闘士星矢』『らんま1/2』『デジモンアドベンチャー』『ドラゴンボール』などが放送されたアニメの黄金時代だったと紹介し、アニメはすでに熱心なファンの集団もできて、その表現はなじみ深いものになっていると語った。
     ギュヴェン氏は、自分が子供の時はまだトルコにはTV局が1チャンネルしかなく、アニメは『アルプスの少女ハイジ』と『キャンディキャンディ』だけだったと当時を振り返った。現在は100チャンネルあり、そのうち20チャンネルが子供向けの番組をメインとしているという。『NARUTO』なども放送され、若い世代がアニメを見ることが好きになっているため、各チャンネルはアニメに高い関心を持っていると話した。エルダルは、トルコの人口の多さ、若年層の多さから、アニメの輸出先としてトルコ市場は魅力的であることを強調した。

    原稿執筆:藤津 亮太

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